投資の精算・再投資が関わる論点について

固定資産の交換による取得や、事業分離による損益認識については、表題の投資の精算→再投資or投資の継続の判定の論点が関わってくる。

 

まず、交換による固定資産の取得だが、

異種資産との交換なのか、又は同種資産との交換なのかで判定が変わり、取得原価に影響を及ぼす。

異種資産(自己所有の株式や社債)との交換により取得した場合は、交換であっても取引の実態は売買取引であるとみなし、損益が生じると考えられる。その結果、自己所有の株式等の時価又は適正な簿価をもって取得原価とする。

 

同種資産(固定資産同士)との交換により取得した場合は、投資は引き続き継続していると考えられる為損益は生じないと考えられる。その結果、交換に供された自己資産の適正な簿価を取得原価とする。

 

事業分離についての論点については、①分離先の企業からの対価が現金等なのか、それとも株式なのか、②相手先は関係会社なのか否かで判定が変わってくる。

まず、現金等の事業とは明らかに異なる財産を受取対価として事業を移転した場合、企業が従来負っていた事業投資のリスクを免れるようになったことから、投資は精算されたものとみなされる。その為、対価となる財の時価と、事業に係る株主資本相当額の差額については、移転損益として認識する

それに対し、分離先企業の株式を受取対価とし、かつ新たに分離元企業の子会社・関連会社となる場合は、株式を通じて、事業投資を引き続き行っているとみなされることから投資が継続していると考えられる。その為、移転損益は認識せず、分離先企業の株式の取得原価は、移転した事業に係る株主資本相当額(資産と負債の差額)に基づいて算定する。

 

以上。